経済、投資 2
さて、昨日に続き、投資の話です。
昨日は、利回りの触りについてアップしました。
本日は、投資のプロ達が、利回りよりも重視する「キャッシュフロー」について。
さて皆さん、
①利回り16%、築後38年の一棟収益マンション
②利回り9%、築後12年の一棟収益マンション
どちらも、2億円、
どちらも、銀行融資利用での購入前提、
どちらも、鉄筋コンクリート造、
だとしたら、どちらが投資対象として優れているでしょうか?
①の月額賃料収入は、2億円×16%÷12で、約267万円。
②の月額賃料収入は、2億円×9%÷12で、150万円。
これ、キャッシュフローとしては、②の方が優れているんです。
理由を説明しながら、キャッシュフローについて解説します。
建物は、「法定耐用年数」と言うものが法律で定められています。
主には会計上の理由を目的として、減価償却資産が利用に耐えうるであろう期間が決められているんですね。
鉄筋コンクリート造の場合、その法定耐用年数は、47年です。
殆どの銀行では、投資用不動産の購入を目的とした融資に対しては、
法定耐用年数-築後経過年数
を、融資上限期間(=返済上限期間)としています(但し、上限35年)。
つまり、①の返済年数は9年、②は35年となる訳です。
同じ2億円の借入でも、月額返済額は、
①は、約202万円
②は、約66万円
となると、毎月の手取額は、
①は、月額賃料267万円-毎月返済額202万円
=65万円
②は、月額賃料150万円-毎月返済額66万円
=84万円
②の方が、返済年数を長く取れる分、毎月の返済額が下がるので、手取額が多くなるんですね。
この手取額の事を「キャッシュフロー」と呼びます。
利回りは①より全然低くても、②の方がキャッシュフローで優れている為、①より②の方が投資適格な訳です。
実際のキャッシュフロー算出においては、返済額以外にも必要な様々なコストを厳密に計算に算入しますし、
実務上での投資判断は、例えば、
◼積算金額(土地建物の再調達価格)
◼立地
◼地域性
◼テナントの質
◼将来的な賃料の下落リスク、または下落率は、築後年数の浅い物の方が大きい。
◼築後年数の古い物の方が、建物メンテナンスコストが大きい。
◼過去のメンテナンス状況
等々、その他、多種多様な要素を極力厳密に割り出し、そして総合的に判断しますので、投資適格判断は、また違ったものになる可能性も無くはない訳ですが、
最重要判断基準である「キャッシュフローを説明する為」に、
「キャッシュフローのみで判断する」と、
それに優れている上に、建物が新しい②の方がポジティブとなる訳です。
この通り、「利回り」って投資判断の一要素でしかないんですね。
もう一つ。
利回りって、投資をクローズさせる時、例えば売却する時に、その額が確定して、初めて利回りも確定するものなので、その意味でも目安にしか出来ないんですね。
これが、現金での購入なら、「利回り」が持つ意義も増しますし、
或いは元本保証で、且つ確定利回りの投資商品なら、利回り、と言うより「利率」となりますので、最重要投資判断基準となる訳ですが、それだと投資商品と言うよりも、定期預金ですね。
し、仕事してるみたいで楽しくないかも…。
また報告します…。